COMPLEX・・・きっと俺が生きてるうちに見れる中でも数少ない本物の「伝説」の復活に立ち会えたのだと誇りに思う。
皆さんご存知のように俺はB'zの大ファンであり、それは遺伝子レベルにまで刻み込まれている。その母も、B'zのデビュー前はBOOWYのファンだった。
至る所にコピーバンドが生まれ、みんなBOOWYを歌って演奏していたと母は語る。80年代後半、空前のロックバンドブームだ。
BOOWYの解散後、ギターの布袋寅泰と当時アイドル的人気を誇っていた吉川晃司がタッグを組みCOMPLEXが誕生する。と偉そうに語っているが、俺が生まれる10年以上も前の出来事である。
生まれる前に解散してしまい、2011年に一度だけ復活をするも当時は参加が叶わなかった自分にとって、今回の復活は寝耳に水。今回が正真正銘の最後だろうと思い、なんとかしてチケットを取ってもらった。
まさに「斗羽と猪狩が試合をするのです、それは私にとってすべてに優先されることです」状態だ。(東京ドームだし)
COMPLEXの熱狂的なファンというわけではなかったが、やはりこの目と耳で「歌う吉川」「弾く布袋」を見たかった。聴きたかった。
5万人が同じ志を持って集まっていると思うとこみ上げてくるものがあった。
やはり感じたのは男性率の高さだ。当時この2人に憧れた者たちが集結している。
この日だけは少し羽目を外して、まるで若返ったようにCOMPLEXサウンドを楽しむ歴戦の大人たちの姿があった。
1塁側の一階スタンド、少し高いけれど見渡すにはちょうどいい席。
20240515-16の文字がスクリーンに大きく映し出され、白黒映像が流れだす。
前回の日本一心の最初で2人が握手したシーンが流れるとひときわ大きな歓声が上がる。
2人のソロのロゴが両脇に映し出され、BE MY BABYが流れだすとボルテージは最高潮に達する。どこから出てくる!?と思っているとセンターステージの両脇から二人が歩み寄る。
13年前と同じように中央でがっちり握手を交わすと大音量の特効と共にバンドの演奏が始まる。
吉川晃司が口を開き、「愛しているのさ狂おしいほど」の「あ」の部分でもう大歓声が上がる。
声が美しすぎて、唯一無二であると再認識した。BE MY BABY~を声が枯れるほど客席が大合唱する中、最後はシンバルキック!アクティブすぎるだろこの人。まだ蹴られること、生で見れたことに感動した。
吉川「日本一心へようこそ。大自然の前じゃ俺たち人間はちっぽけだが、こうして同じ志のもと集えば、奇跡だって起こせます。ともに能登へエールを!」
次に始まったのはPRETTY DOLL、やはり前回の日本一心と同じセットリストか?次のCRASH COMPLEXIONでその思いは確信に変わる。そして路地裏のVENUS・・・2人の音楽が体の中に響き渡る。
LOVE CHARADEでは布袋が事前に最後の英詩部分を解説してくれていた。
Love is always in the air but
never when you want it there
Love is always in the air but
when it’s true it’s forever
みんなで手でハートを作りながら、この部分を歌う。
吉川晃司は手術を受けた影響で、激しい運動はできない。しかし、それでもステージの端から端までゆっくりと歌い歩き、オーディエンスに応え続けた。
2人のAnother Twilightではサビ部分のLooking for another Twilight ♪でノる。
BLUEでは照明も青く光り、座ってゆったり聴く人多数。
DRAGON CRIMEではドラゴンっぽい映像が流れ、奇怪なリズムが心地いい。
ところどころの曲では吉川晃司もギターを弾き、奏で合う。
ライブも終盤に突入すると、ROMANTICA 2024…(twenty twenty-four)という録りおろしと思われるボーカルが流れ、歓声が上がる。
インストゥルメンタルのセッションの後に始まったのはもちろんPROPAGANDA。待ってましたと言わんばかりに会場の熱気が高まる。
吉川の軽快なステップに布袋のギターが絡み合い、お互いが刺激し合っている。
GOOD SAVAGEでは再び吉川晃司もギターを持ち、2人が中央で向き合ってギターソロを奏でまくる。まるで戦っているかのように、一節弾いたら布袋が、また吉川が、と一生この時間が続いて欲しいと思うような壮絶な間奏だった。そして両者には笑顔があった。
布袋はまるで少年のような笑みを浮かべ、吉川はクールに笑い、ボーカルに戻った。
なんて時間だったんだ…と余韻に浸っていると、一気に会場が地鳴りのような雄叫びを上げるイントロが始まった。恋をとめないで、これが生で聴ける感動ったらもうない。
「夜のデイトは危険すぎるからなんて」
もう最初っからみんな歌ってた気がする。
念願の曲を聴けた感動に俺は涙を流しながら拳を突き上げ、Don't stop my loveをシャウトした。
お嬢さんのつもりが臆病になってるだけ
部屋に籠って 夢見るのかい
ここが本当に好き。2番の歌詞は「東京ドームの夜!」に変更。
Don't stop my loveをもう何回叫んだか分からない。涙と汗で完全にやり切った感が出たが、俺が本当に楽しみにしていた曲はもう、すぐ次だ。
MAJESTIC BABY、歌詞が全部好きなんだが、最後、「お前と一緒なら…」でほんまに涙出そうになる。
前回の日本一心ではなかった謎の振り付けを真似る。(なんか手をウキウキさせる動き。チャーミングだなオイ)
そもそも、土曜の夜に連れ出して、お前とならうまくやれそうって流れが完璧すぎてこのゾーンは泣けるんだよな。
大満足の日本一心はいったん幕を閉じる。
アンコールでは布袋寅泰がピンクのジャケットで登場。モニターにはデジタル数字が映し出され、「1990」が完成する。
ほどけた靴紐を結んで~の部分を最後はラララ~で大合唱。
2人が別れてステージの端から端まで歩く。最後は数字が2024になり、現代のCOMPLEXを表すようだった。
RAMBLING MANもめっちゃ好きな曲。最初から最後まで盛り上がれる。
耀き放つ摩天楼~もなんか最後めっちゃ歌ったな。
最後もお決まりシンバルキック。もう体力の限界までパフォーマンスを見せつける。
2人はステージから捌け、ダブルアンコールへ。
CLOCKWORK RUNNERSのイントロでどよめきが起こる。これは13年前もその前のラストライブも演奏しなかった曲だ!ここで2024年のCOMPLEXとしての変化、進化を取り入れてきた!
そして本当に最後はAFTER THE RAIN。照明が幻想的に輝く。
布袋「俺は62歳、吉川さんは58歳だよ」で場内は笑いに包まれる。
「あの頃追いかけていた少年少女たちも立派な大人になってここに集っていると思います」
「俺もさぁ、これやってみたかったんだよ」と言うと、シンバルの元へ。足を高く上げてやる仕草を見せ、実際に当たってたかな?
「ところで吉川さん、俺たちそろそろ新曲作らない?」
この発言に大きな驚きの声が上がるも、吉川晃司は明確な返事はせず、笑顔に留めた。
吉川「今日ここに集まったエネルギーをしっかり能登に届けたいと思います。能登にエールを!」
拳を高くつきあげ、最後にサポートバンドメンバーと共に深々とお辞儀をし、ステージから去って行った。
なんて素敵な時間だったのだろうか・・・
本当にこの場に居れて良かった。
吉川晃司の声は相変わらずかっこよくてシビれたし、シンバルキックは見られたし、
布袋寅泰が本当にあのギターを持って弾いている、布袋にしか出せない音色が聴けた。
この2人が共にステージに立って思うがままに「音楽」を演っている・・・
ずっと目に焼き付けておきたかった。
観客の一部になれたことが本当に嬉しかった。
やっぱりこういう復活というのは胸が熱くなる。
復活といえば、俺は氷室京介がもう一度ステージに立つ日を夢見ている。
BOOWYの復活はもう望めないかもしれないし、そもそも誰も望んでないかもしれないし、氷室京介も耳がもうダメなので絶望的かもしれないけれど、あれ以来まだ一度も実現していない「歌う氷室の横でギターを弾く布袋」が見れる日を待っている・・・